前回の記事から引き続き、新中学1年生の日常学習についてお話していきます!
中学生が多忙の毎日の中で、どのようにして自分の「やりたいこと」に取り組む時間を確保しつつ、日常学習に取り組んでいくのか。
前回の記事の中で大まかに中学生の日常学習の3ステップを示させていただきました。
①勉強に興味を持つきっかけを作る
・学習テーマの興味づけになるような活動に取り組む
・関連した漫画や雑誌を眺めてみる
・まずは教科書を眺めてみる
②授業内で理解しきるよう意識する
・授業中の先生の話を聞きながら、重要なポイントをノートに取れるようになる
・授業ノートのメモを基に自宅で「復習」できるようになる
・授業に備えて『自由自在』や教科書を読んでおくなどの「予習」に取り組める
③理解した内容を定着させる
・問題集等を使い、授業で学んだ内容を定着させるための「演習」に取り組むことができる。
・「演習」の中で見つかった自分の苦手なところを参考書や教科書を振り返って、理解にまでつなげることができる。
中学1年生の家庭での日常学習は、①~③の3ステップで考えておくと良いと思います。
一方で、通塾されているお子様の場合は、次の3つの要素も加わってきますね。
・塾での授業の内容を理解できる。
・塾で出された宿題に取り組むことができる。
・塾で理解したことを問題集などで「演習」して定着させることができる。
このように、お子様がどの段階にいるのかを考えながら、適切な学習施策を考えていくことが非常に大切です。
今回の記事では、上記の3ステップに照らし合わせながら、『中学 自由自在』の編集担当者日常学習のポイントをインタビューしていきます。
取り上げるのは、「数学」「国語」「英語」の3教科です。
ぜひご一読ください。
学習内容に興味を持つきっかけを作ろう!
「数学」の日常学習に取り組む前段階として、やはり教科の内容そのものに興味が持てないというお子様もいらっしゃいます。
そういう場合は、どのように興味づけをしていくと良いでしょうか?
数学は最も「中1ギャップ」を感じやすい教科とも言われています。
そのため、まずは、この算数から数学への移行期の最初の段階で苦手意識を抱えないようにすることが、興味を失わない上でも大切です。
「分からない」は興味を喪失する最大の要因ですので…。
なるほど。具体的にどの単元で苦手意識を抱えやすいのでしょうか?
実は中学校で最初に学習する「正の数・負の数」と「文字式」のところで躓く生徒が多いと言われています。
「文字式」は何となく想像がつきましたが、「正の数・負の数」は意外ですね!
特に「負の数」は小学校で全く登場しない概念なので、中学校で初めて学習することになります。ここが、苦手意識を感じやすい原因かもしれません。
「文字式」は言うまでもなく、算数から数学へ、具体から抽象への橋渡しになる単元です。それ故に苦手意識を抱えやすく、同時にここで躓くと数学への興味を失いやすいですね。
確かにそうですね。そうならないために、どういった対策ができますか?
最初は時間をかけてでも「具体的に」学ぶことを意識しましょう。
例えば、「正の数・負の数」では、多くの教科書で数直線を使った導入が行われます。これは正負の数の概念を理解するうえでも、非常に大切な考え方です。しかし、先生が板書していたからとりあえずノートに写しただけに留まってしまうお子様も少なくありません。
まずは、こうした具体的な操作から丁寧にやっていくことを心がけたいですね。
「文字式」に関しても、文字でやりくりする前に、まずは椅子やリンゴなどの具体物を置いて考えてみて、それから文字に置き換えるというひと手間を加えてみても良いでしょう。
移行期にあたる「正の数・負の数」や「文字式」のような単元で、時間をかけてでも理解に繋げておくことが、数学という教科に興味を持つうえでは、非常に大切なのですね。
授業で理解した内容を定着させよう!
授業でしっかりと理解するという段階をクリアして、もう少し家庭学習に取り組みたいというお子様の場合、どんなことを心がけると良いでしょうか。
様々な種類の問題に取り組みながら、分からなかったことや間違えた問題に時間をかける癖をつけると良いと思います。
具体的にはどんな学習が有効でしょうか。
答え合わせをしていて間違えた問題があったとしましょう。
その時に、正しい答えや模範解答の手順を書き写すだけになってしまうと、学習効果は高まりません。
大切なのは、「なぜ間違えたのか?」「どこで躓いたのか?」を明らかにすることです。
もちろん単純な計算ミスの場合もあると思いますが、その一方で誤った認識や理解からその間違いが起こっていることも考えられます。それらを1つ1つ埋めていくと良いでしょう。
なるほど。では、そうした「演習」のための問題集選びでは、何に注意すると良いでしょうか。
次の2点は意識しておきたいですね。
①お子様に合ったレベルの問題が掲載されている
②解説が充実している
簡単に全問解けてしまう問題集を選ぶと、単なる「確認」になってしまいます。受験研究社の参考書であれば、『10分間復習ドリル』『標準問題集』『ハイクラステスト』などのラインナップがありますが、それぞれに役割や難易度が異なります。
中身を見てみて、「簡単に全部解けそう」や逆に「全然歯が立たなそう」に分類されないちょうど良い1冊を選ぶと効果的です。
ありがとうございます。一方で、塾に通っているお子様もいらっしゃると思いますが、そういう場合の家庭学習はどうなりますか?
塾で理解を補っていくのは、もちろん大切ですが、一方で学校と塾で教え方が違い、混乱してしまうお子様がいることも忘れてはいけません。
「いろんな見方があるんだ」と自分で納得して、上手く立ち回れるお子様であれば、それほど問題にはなりません。
一方で、混乱してしまうケースもありますので、そういった場合、まずは「1つの解き方」に絞ってあげるようなアドバイスも必要になるかもしれません。
参考書も学校の授業とは説明や解説が異なることがありますね。
はい。ですので『自由自在』のような厚物参考書を活用するのはもちろん良いのですが、その際に学校や塾の授業との違いがあるかもしれません。ここは、注意しておきたいですね。
学習内容に興味を持つきっかけを作ろう!
「国語」の場合はどのように興味づけをしていくと良いでしょうか?
まずは、現代文から。
教科書に掲載されている小説文や評論文になかなか興味を持てないお子様はいらっしゃいます。
もちろんそれは、題材そのものに興味が持てないという理由もあると思いますが、一方でそもそも「読み方」が身についていないという可能性も考えられます。
読み方ですか?
はい。日本語の文章をきちんとその意味を理解しながら読んでいないと、ただ文字の羅列を目で追っているだけになってしまい、読むという行為が退屈に感じられ、興味を失くしてしまう悪循環に陥ります。
読書はしているのに、国語が得意にならないというお子様は、こうした読み方をしている可能性も考えられますね。
なるほど。そうした読み方になってしまう原因は何でしょうか?
短い時間で義務感に駆られて読むと、こういった読み方になってしまう可能性がありますね。国語の教科書の本文は、授業の短い時間の中で興味を持てないままに、とりあえず読み進めなければならないというケースも多いです。
そうした義務感や焦りが、とにかく文字を追うだけという「読み方」を生んでしまいます。しかし、それでも授業では、先生がお手本の解釈は示してくれるので、理解できてしまうのです。
確かに全然読めてないのに、何となく分かった気になって終わってしまうことがありますね…。
ですので、まずは教科書の本文をじっくり自分のペースで読む習慣を身につけるのが望ましいと思います。
分からない言葉があれば辞書やインターネットで調べつつ、少しずつ意味を理解するようにすると良いでしょう。どうしても教科書の本文だと興味が持ちづらいという場合は、他の読み物でも良いと思います。この場合は長編よりは短編の読み物の方がおすすめです。
意味が自分で掴めるようになると、少しずつ「読む」という行為に主体的に取り組めるようになると思います。
時間をかけて、自分なりに意味を読み取るように努力してみるということですね!
はい。その次の段階として、目指して欲しいのは、予習の段階でまず教科書本文を自分ひとりで読んでみて、授業中の先生との理解の仕方の違いなどを楽しめるようになることです。
解釈の違いなどに注目することで、授業中の解説をより深く聞く意識が生まれます。
ありがとうございます。一方で古文や漢文はどうでしょうか。
古文や漢文の場合は、やはり描かれている内容の時代や舞台設定に馴染みがないというのが大きなハードルになっています。
これをクリアするために、『あさきゆめみし』『ちはやふる』『史記』のような古典に関連のあるマンガで世界観を掴んでいくというのも、1つの手だと思いますよ。
授業で理解した内容を定着させよう!
授業でしっかりと理解するという段階をクリアして、もう少し家庭学習に取り組みたいというお子様の場合、どんなことを心がけると良いでしょうか。
「国語」の日常学習は非常に悩ましいですよね。
定期テスト対策を考えると、教科書中心の学習が有効ですが、そればかりに傾倒してしまうと、実力テストや模試などの初見の文章を読まなければならない時に躓いてしまいます。
教科書の勉強がある程度、こなせるようになってきたお子様はそこに「+α」の学習をできるように心がけると良いでしょう。
教科書の学習をベースにしつつ、少しそれ以外の学習も加えてみるということですね。具体的にはどんなことができるでしょうか?
まずは、授業の中で示された文章を深く読むためのポイントを授業中に聞き漏らさないようにして、家庭ではそこを意識して改めて読み直してみましょう。
そして、余裕があれば、「+α」として問題集に掲載されている論説文や小説文、古文など、教科書で出てきたものに近い問題を解いてみましょう。
教科書の本文と比べて、あまり難しすぎるものは、かえって苦手意識に繋がってしまう可能性があるので、注意したいですね。
また、古典の場合は、現代文と違って、そもそも語彙が不足しているので、『マンガとゴロで100%丸暗記』のような書籍を活用して、語彙を増やしておくと、教科書以外の文章にも対応しやすくなっていきます。
授業で習った読み方を自分で再現することで読解問題が解けるという実感が国語学習の好循環に繋がりそうですね!
その通りだと思います!国語の力をしっかり向上するのには時間がかかります。
いわゆるテスト前の追い込みがしにくいですので、「授業での学習+α」を意識して継続していくように心がけましょう。
学習内容に興味を持つきっかけを作ろう!
「英語」の場合はどのように興味づけをしていくと良いのでしょうか?
この時期の英語の得意・不得意には、「単語を覚えること」「英語を話す・書くこと」といった要素が関わっているデータもあります。
とりわけ「話す」「書く」といったアウトプットの前には、まずインプットがしっかりと蓄積されていくことが大切です。
そのため、語彙や文法にまずは重点を置き、英語で表現できるテリトリーを広げるところから始めると英語という教科への興味にも繋がりやすいのではないでしょうか。
なるほど。具体的にはどんな学習が可能でしょうか?
まずは、教科書の本文をしっかり読み込む癖をつけるのが良いでしょう。
教科書の本文やダイアログには、キャラクターが登場したり、イラストが併載されていたりするので、そうした視覚情報と結び付けながら暗唱できるくらいまで繰り返し学習してみましょう。
教科書で勉強するのが、ハードルが高いと感じてしまう子の場合はどうすれば良いでしょうか?
確かに教科書の本文だと興味が持ちづらいケースもあります。その際は絵本や読み物や簡単な洋楽などを用いても良いかもしれません。
この場合も、何となく読むのではなく、気になった単語・表現があれば、調べてみるのが良いでしょう。
また、音読、歌などを通じて、英語を口に出すことに対する抵抗を減らしていくのもアウトプットに向かう姿勢を養う上で効果的です。
ありがとうございます。少し話が変わりますが、以前の記事で日本語と英語のギャップに苦戦するお子様が多いと伺いました。本格的に文法学習が始まる中学校では、その傾向が顕著になることが想定されますが、どのような対策が考えられますか?
今回改訂された『中学 自由自在』にて「意味順」というアプローチを採用しています。これは英語の語順に日本語の文章を対応させ、それを英語に変換することで英文を作ることができるというアプローチになっています。
確かにこれなら、直感的に和文から英文を作ることができますね。
いきなり英文を書いていくのは、やはりハードルが高いと感じられる場合もありますから、「意味順」のような“補助輪”的な手法を使って、少しずつ英文のルールに慣れて理解していけると、自ずと英語への興味に繋がっていくのではないでしょうか。
授業で理解した内容を定着させよう!
授業でしっかりと理解するという段階をクリアして、もう少し家庭学習に取り組みたいというお子様の場合、どんなことを心がけると良いでしょうか。
教科書では本文を中心に読解や文法学習を進めます。そのため、家庭学習における「演習」としては、教科書以外の英文を読んだり、本文のコンテクストから離れた文法問題に取り組んだりするのが有効だと思います。
具体的にはどんな参考書や問題集が活用できますか?
文法問題であれば、『10分間復習ドリル』や『標準問題集』のような重要な問題が集約された問題集を使って「演習」していきましょう。
教科書以外の英文を読みたい場合は、『中学 自由自在』に各単元にダイアログやパッセージが掲載されているので、こちらを読んでみるのも良いと思います。
加えて『中学 自由自在』はQRコードで手軽に音声が聞けるのもメリットです。リスニングの力は一朝一夕にはつかないので、継続的に学習を続けることが大切になってきます。
この時、聞き流すのではなく、単語を聞き取ったり、意味を理解したりしながら聞くように努めましょう。
まずは、学校の授業の内容をしっかりと押さえていくことが何よりも大切です。
その上で、もし授業の内容理解に余裕が出てきたら、少しずつ「+α」の内容に取り組んでいけると、後にそれが大きな力になってくれます。
特に「国語」「英語」は定期テスト対策としては、教科書本文中心の学習が有効な一方で、実力テストや模試、その先の入試本番では初見の文章・英文の問題に取り組まなければならないという特性があります。
このギャップで悩むお子様も少なくないので、日常学習の中でその準備を少しずつ積み重ねられると、教科書の本文やテキストに依存しない学力を身につけられるでしょう。
次回はいよいよ始まる中学校の定期テストについて取り上げます。
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・判型:A5判
・ページ数:本⽂592〜656ページ、解答編(数学)160ページ
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“知りたいことが何でもわかる本”をコンセプトに、『自由自在』は中学生シリーズが創刊70周年を迎えました。
豊富な写真や図版を使ったオールカラーの構成で、学習の要点をきめ細かく段階を区切って解説しており、理解をサポートします。
また、マンガで始まる導⼊部や、⼊試にも教養としても役⽴つコラムやトピックを織り交ぜ、学習者がひとりでも学びやすく飽きのこない⼯夫を凝らしています。
●⾳声・動画による学習理解の促進!
英語では基本⽤例の英⽂やリスニングの⾳声をQRコードから再⽣。リスニングや⾳読の反復練習がしやすくなりました。
理科では実験の理解度を深める動画「科学実験ライブラリー」を⽤意。付属の⼩冊⼦にあるQRコードから⼿軽にアクセスできるようにしました。
ぜひお手に取ってみてくださいね。